bottom of the 9th
ドイツゲーム ダイスゲーム 野球
原作:Dice Hate Me Games(アメリカ)
開発:Handelabra Studio(アメリカ)
600 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2017/8/20
「野球は9回2アウトから」をダイスゲーム化
熱戦が繰り広げられている高校野球。プロ野球もそろそろ大詰めです。
そんな中、野球をテーマにしたダイスゲームのスマホアプリ版が公開されました。
「bottom of the 9th」です。
名前の通りプレイするのは「9回裏」のみで、サイコロを振って勝負を行います。
サイコロ野球なので、鉛筆を転がして遊ぶやつの豪華版、みたいな感じもあるのですが、ピッチャーやバッターが様々な能力を持ち、配球の読み合いやスタミナの要素も加えられています。
また、大リーグらしいサウンドと、初期のベースボールを表現したグラフィックが非常に良い雰囲気を出しています。
オリジナルは 2015 年に発売されており、大きな受賞歴はないようですが、拡張セットが複数発売されていて、アメリカでは相応に人気がある作品のようですね。
価格は 600 円。買い切りゲームなので課金・広告・スタミナ等はありません。
英語のドイツゲームなので、今回は遊び方の説明を中心としたレビューでお届けいたします。
まずはビジターチームかホームチームかを選択します。
ビジター側は守備側、ホーム側は攻撃側となり、9回の裏だけなので、攻守の交代はありません。
点を取れば攻撃側のサヨナラ勝ちで、守り切れば延長で守備側が勝ったことになります。
攻撃か守備かを選んだら、チームのメンバーを決めます。
守備側は先発とリリーフ、攻撃側は6人のバッターを選ぶ必要がありますが、右上の Random のボタンで自動選択にすることもできます。
メンバーの詳細については、このページの下部に日本語訳を掲載しています。
※コンピュータは EASY、NORMAL、HARD の3種類。
HARD でもあまり強くないですが、ダイスゲームなので運にも左右されます。
右は選手リスト。女性選手もいますね。
選手を決めたら試合開始。
いきなり同点で9回裏、試合は大詰めです。
まずは4つの枠の中から、ピッチャーは投げる位置を、バッターは狙う位置を決定します。
その後、ピッチャーは「ピッチダイス」と「コントロールダイス」、バッターは「スイングダイス」を振ります。
ピッチダイスには3つの「B」と、2つの「S」、1つの「C」の面があります。
B はボールで、ボール球を投げたことに。
S はストライクの球。
C はコーナーを突いた球を投げたことになります。
そしてピッチャーのコントロールダイスと、バッターのスイングダイスの目を比べます。
このダイスは両方、1~6の普通のサイコロです。
球がボール球だった場合、ピッチャーのコントロールダイスより、バッターのスイングダイスが小さいか同じだった場合はボール。
スイングダイスの方が大きかった場合は空振りになります。
球がストライク球だった場合、ピッチャーのコントロールダイスとバッターのスイングダイスが同じだった場合はファール。
スイングダイスの方が小さかった場合は空振り、スイングダイスの方が大きかった場合は Contact!(コンタクト)となり、打球が飛んで「走塁フェイズ」へと移行します。
球がコーナーを突いている場合は、ダイスの目が同じだった場合のみコンタクトとなって打球が飛び、それ以外はすべてストライクとなります。
※ピッチャー側は、ボールは数字が小さい方が、ストライクは数字が大きい方が有利。
バッターは、ボールなら相手より小さく、ストライクなら相手より大きくしたい。
ただし、ダイスの目をそのまま比べることは普通ありません。
最初に決めた「投球位置」「スイング位置」によって、ダイスに修正をかけられるからです。
球の位置には内角の高め・低め、外角の高め・低めがあり、バッターの決めた高さが合っている場合はスイングダイスを -1 か +1 することができます。
逆に合っていなかった場合、ピッチャー側がコントロールダイスを -1 か +1 できます。
内角か外角かは、バッターが合っていればバッター側が、ハズレていればピッチャー側が、ダイスを1つを振り直すことができます。
そしてもしバッターが予想した球の位置が完全に的中している場合…
ダイスの目の増減か振り直しを合計2回行え、さらに1回分使ってバッターごとに設定されている「MVP アビリティー」を発動させられます。
これには「コーナーへの投球を普通のストライクに変える」「スイングダイス+2」などの効果があり、勝負が有利になります。
また、「得点圏にランナーがいるとスイング+1」といったパッシブスキル(常時発動スキル)を持つ選手も多いです。
※4つの投球位置。太枠がピッチャーの得意球の場所。
もちろん、そこばかり狙おうとすると相手に読まれます。
右は投球後のダイス修正。ただし読み合いで負けていると修正できません。
一方、バッターの配球予測が完全にハズレている場合は、ピッチャー側がダイスの目の増減か振り直しを1回行え、さらに「打たれてもファールになる」などのピッチャー独自の補助効果が発動します。
また、投球位置には各ピッチャーが得意とする場所があり、そこに投げてバッターに予測されていない場合、ピッチャー側の「エースピッチ」のスキルを発動させられます。
ただ、ピッチャーにはスタミナがあり、例えば内角高めが得意な場合、内角に投げると内角のスタミナが1つ、高めに投げると高さのスタミナが1つ減少します。
これが尽きると投げられる位置が減ってしまい、バッターに予測されやすくなってしまいます。
※左はピッチャーのスタミナが尽きて右上しか投げられなくなっているところ。
こうなるとほぼバッターの勝ち。
スタミナは得意コースの反対側に投げれば減りませんが、苦しい時にそこに投げるとやっぱり読まれます。
右はピッチャーのスタミナ回復画面。バッターとの勝負後に行えますが、連打を浴びていると回復量が下がるので、どうしても厳しい時はピッチャー交代を。
バッターがコンタクト(打撃)に成功した場合、走塁フェイズになります。
これにはターン制とリアルタイム制があり、ゲーム開始前に決められます。
ターン制の場合は、打った側と守る側がサイコロを交互に振って、先に5か6を出した方が勝ち。
リアルタイム制の場合は双方が急いでサイコロを振り、5か6を出して、先に Safe か Out のボタンを押した方の勝ちになります。
特技の中には「スピード」というものがあり、これがあると5と6に加えて4でもセーフのボタンを押せるようになります。
また、走塁フェイズにならずにヒットが確定するといった特技を持つ選手も存在します。
※走塁シーン。カルカソンヌのコマが野球やってる感じ。
右は選手カード。メンバー選択時、もしくは画面下の選手表示をタップすると出てきて、能力詳細の部分をタップすると拡大されます。
もしピッチャーがストライクを投げ、バッターが6の目を出すと Crash!(クラッシュ)が発生!
長打のチャンスになります。
この時はもう一度ダイスを振り、1か2なら普通のバッティング(コンタクト)と同じですが、3か4なら走塁をカットして確定でシングルヒットに。
さらに5なら2塁打、そして6ならホームランとなります。
前述したように9回裏なので、ホームラン=サヨナラ勝ちですね。
ただ、ホームランを打たれても守備側がダイスを1回振り、それが6ならファインプレーで助かったことになります。
※バッターが6だとクラーッシュ! さらに6が出たら勝負あり。
ピッチャーだといきなり終了ってヒドイ!? と思いますが、実際の野球でも1球で涙を呑むのは良くある話。
ホームラン恐い。
ゲームの基本的な流れは以上です。
1球ごとにダイス勝負を行うゲームですが、早ければバッター3人で終わるので、そんなに長くは続きません。
1対1のゲームですし、その辺がスマホに移植しやすかった理由だと思われます。
ゲームモードは1人でコンピューターと対戦を行う HOME GAME の他に、オンラインのランク戦 AWAY GAME、オンラインのフリー戦 EXHIBITION GAME、知人との通信対戦 PICK-UP GAME が用意されています。
ただ、オンライン対戦のプレイヤーは多くない模様。
本体を交互に使っての対戦もできますが、相手に見られないように投球位置や打撃位置を決め、その答え合わせをしながらダイスを振るゲームなので、交互に使ってのプレイには向いていません。
しかしこのゲームは「駆け引きと読み合いのゲーム」だと思うので、人と対戦しないと本来の面白さを感じられない気もしますね。
シーズンや大会モードがあれば1人でも長く遊べたと思いますが、今のところ1回ごとのプレイを楽しむのみで、ここも残念なところです。
まあ、ドイツゲームはそれが普通ではありますが。
※左はゲームメニュー。知人との通信対戦をする時は、PICK-UP GAME を選んで SEND INVITE LINK のボタンを押し、メッセージかメールを相手に送信しましょう。
受信側はそれに書かれている URL をタップすると、ゲームがインストールされているなら自動で起動し、ゲームにログインします。
右はゲーム終了後のスコアシート。雰囲気があって良いですね。
野球のボードゲーム / ダイスゲームという点で、非常に希有な作品です。
野球好き同士で対戦すると、盛り上がるアプリではないでしょうか。
確かに野球の細かい駆け引きが良く再現されていると思います。
登場する選手は架空ですが、テーマが 1900 年代前半の古いベースボールですし、権利の問題もあるので、ここは仕方ないところでしょうか。
でも、このルールでプロ野球選手が登場するゲームになっていたら、もっと面白かっただろうなぁ、とも思います。
ドイツゲーム系と野球が好きな方は、チェックしておきたいアプリでしょう。
bottom of the 9th (iPhone、App Store)
・bottom of the 9th (Android、Google Play)
【 ちょこっと攻略 】
以下では登場選手の特性の和訳を掲載しています。
記号の意味は以下の通りです。
★:バッターの MVP アビリティー、及びピッチャーのエースピッチ
■:パッシブスキル(常時発動)
●+○:バッターの予想が完全にハズレた時のピッチャー側追加効果
※スピードは走塁の成功する目を1つ増やします。つまり4か5か6で成功。
※フィールディングは走塁をアウトにする目を1つ増やします。
= バッター =
ANVIL MCIVER
★5か6でクラッシュになる
■スイングとクラッシュのダイスが常に+1
DAN MARTINI
★走塁フェイズ時に2回、自分のみダイスを振れる
■走塁フェイズ時に1回、自分のみダイスを振れる
ENHAN ROBERTO
★スピード+1。ヒット時、2塁に誰もいないなら、そのまま2塁を目指せる
HANNAH CAIT
★投球ダイスがコーナー(C)の時、普通のストライク(S)に変える
K.C. PETTY
★スイングダイス+2
■見送りが可能。投球前に「Take Pitch」を選ぶとバットを振らない
KERRY RUMBLE
★スピード+1。発動時、ダイスの目の修正はできない。
■S5に5、C6に6を出すとクラッシュに。他のCは打ってもファール
KING LAUNIUS
★クラッシュでない場合、打つと無条件でシングルヒットになる
■クラッシュのダイスを振り直せる
MULLY NOMAH
★スイングダイスを1か4にする。その後の目の修正はできない
■得点圏にランナーがいるとストライクに対するスイングダイス+1
PETE R. SCHMIDT
★ダイスが1~3なら、反対側の目に変える
■2ボール以内の時、ボール球を「Take Ball」で確実に見逃せる
ROBBIE TRUMAN
★相手がパワーピッチャーなら数値修正2倍、フィットネスピッチャーなら振り直し回数2倍
■振り直しで1が出ない
VERHEEREND STAAB
★相手のスタミナの好きな方を1つ減らす
■スイッチヒッター。三振すると相手のピッチャーのスタミナ-1
WHITNEY WORLDWISE
★コーナーを突く球の時、スイングダイスが大きいならボールになる
■コーナーを突く球の時、スイングダイスが小さいならボールになる
= ピッチャー(コントロール系)=
HURRICANE PATRISS
●+○クラッシュ(長打)されない
★コントロールダイスが2~5の時、球種ダイスを反対の面に変えられる
■クソボール(B6)を振り直す
KIDO HIRO
●+○次にバッターが狙う位置がランダムになる
★ストライクを投げ、スイングが5か6の場合、スイングをやり直させる
= ピッチャー(パワー系)=
LESLEY LOU
●+○コンタクトされてもファールになる
★S5かC5だった時、S6にする
■B1が出るとデッドボール
MANNY BURGERHEAD
●+○フィールディング+1
★Sならコントロールの振り直し+2
■相手が左バッターの時、常にコントロールダイスを1つ修正できる
= ピッチャー(フィットネス系、技巧派)=
SOUTHPAW STRAW
●+○ダイス修正か振り直しを計2回行える。故障退場しない
★SがC2に。その後ダイスを振り1なら故障交代。完全疲労時は1~3
WAKE LOUDER
●+○修正か振り直し2回。疲労なし
★B5かB6のボール球をC6に変える
■S2で打たれてない場合、ランナーはスピード+1での進塁に挑戦できる
= サポートキャラクター(使用は任意)=
DICE DIXON(監督)
攻撃側:1度だけ代打可能
守備側:走塁がセーフ時に抗議可能
1~3は失敗&監督退場、4~5は失敗、6はランナーがアウトになる
DOC MULLINS(ドクター)
攻撃側:スイングダイスが2か3の時にスピード+1
守備側:ピッチャーの体力が1つ多い状態でスタート
※Youtube 公式 PV
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