「iPad」は発売時、主に「電子書籍リーダー」として紹介されました。
だから購入した人の中には、「買ったらすぐ色々な本がバリバリ読めるんだ!」と思っていた方もいたのではないでしょうか?
しかし実際には、日本の電子書籍の現状はそう簡単ではありません。
書店と出版社の関係、電子書籍に否定的な作家、著作権の問題など様々なハードルがあり、まだ発展途上だと言えます。
しかし iPad の登場以降、日本の電子書籍市場も急速に広まり始めています。
ここでは iPad や iPhone / iPod touch で「電子書籍」を活用するためのアプリや取り扱い書店、電子書籍に関する基礎知識などを解説しています。
まずは iPad や iPhone / iPod touch での利用が可能な電子書籍を販売しているオンライン書店をご紹介します。
※表記している内容は 2011年7月 時点のものです。
コミック(マンガ)が中心の電子書籍書店
書籍数:最多クラス ファイル:独自形式
対応:iPad / iPhone / iPod touch
マンガの電子書籍サイトとしては最大手です。 販売価格は原本の約7割。
なんと言っても書籍数が豊富なのが良い点です。
ただ iPad / iPhone に対応しているのは全体の半分ほどで、パソコンからアクセスした場合、その区別はリスト上からはできません。
iPad / iPhone からのアクセスだと対応している本のみ表示されますので、iPad や iPhone から確認した方がいいでしょう。
アプリのリーダー(読書ソフト)としての性能は悪くはありません。
バージョンアップにより iPad や iPhone 4 の高画質表示にも対応しています。
(iTunes のレビューには古いバージョンのものが残っているので注意して下さい)

以前は iPhone / iPod touch 用のアプリしかなかったため、iPad では(2倍表示にしても)画面が一回り小さくなる難点がありましたが、2010年末に iPad 用のアプリも公開され、iPad に適した画面での閲覧が可能になりました。
iPad 版のアプリ(ebiReaderHD)は機能やインターフェイスも大幅に改善されており、表紙が並んだ書籍リストや輝度調整なども追加されています。
現在は iPhone / iPod touch 版のアプリもこの iPad 版をベースにしたものに変わっています。
eBook Japan の特徴は「トランクルーム」というシステムがあり、ここに無料で 50 冊まで本を移す事ができる点です。(年会費を払うことで量を拡大できます)
置いていた本を取り出すとトランクルームからはなくなります。
購入(ダウンロード)した本はトランクを経由して、パソコン側や他の端末に移して閲覧することが可能ですが・・・
これはつまり、トランクを経由させないと iPad / iPhone と PC の双方で読めないと言う事なので、やや不便さもあります。
また、トランクルームに登録できる本体がパソコンと携帯端末を合わせて3つまでなのも、複数の本体を持っている人には不便です。
会員登録をパソコン側で行う場合、先に必要ソフトのダウンロードとインストールを行っておかなければなりません。
画面左にある「eBookを読める端末」と書かれた部分で使用している OS(Windows や Mac など)を選択して下さい。

やや解りにくい部分もあるのですが、やはり作品数の多さが書店としては一番重要な点ですから、それを考えると iPad / iPhone で読める電子コミックの書店としては、ここが中心と言えるでしょう。
小説や実用書が中心の電子書籍書店
書籍数:最多クラス ファイル:XMDF、.book
対応:iPhone / iPod touch / iPad
多くの代表的な出版社が協力して設立された「日本電子書籍出版社協会」が運営している、小説や実用書などがメインの電子書籍書店。
価格は原本の8割から半額まで幅広く、出版社ごとに価格設定が異なります。
2011年6月に iPad にも正式対応し、これで iOS の各端末で利用出来るようになりました。
特徴的なのはパブリのリーダーが以前から存在していた電子書籍のファイル形式(xmdf や .book)に対応しているため、以前から携帯端末用に販売されていた電子書籍の多くを iPhone / iPod touch でも読める点です。
(ただ、iPhone への対応状況は出版社によって差があります)
(またパブリで購入したもの以外の xmdf や .book ファイルは読めません)
リーダー(読書ソフト)としての性能は、小説を読むには十分と言えます。
ただ、ファイル形式や本の種類によって右開きだったり左開きだったり、めくる方向がまちまちなので注意して下さい。
操作方法もファイル形式で異なり、メニューの出し方は xmdf のものは画面上部をタップ、.book のものは画面を下にスライドして表示します。
また xmdf はタップでページをめくれますが、拡大はありません。
.book はタップめくりはありませんが、ダブルタップやピンチ操作でズーム可能、iPhone 4 なら高解像度で文字が表示されます。
(つまり内部的には別のリーダーになっているようです)

本を探す際は「詳細検索」が便利です。
指定のジャンルやブランドなどで条件を絞った検索が行えます。
パソコンからサイトにアクセスした場合は「形式」の選択が出来るので、ここで「iPhone」を選べば iPhone 対応書籍だけをピックアップ可能です。
(iPhone からの閲覧の場合は、最初から iPhone 対応のみ表示されます)

欠点は登録できる携帯端末が1つだけということ。
iPad と iPhone を持っている場合、どちらか1つしか登録できません。
一方を「解除」すれば、もう一方を登録する事は可能です。
書籍数から見ても、参加している出版社から見ても、iPhone / iPod touch / iPad で小説や実用書を買うならここがメインになるでしょう。
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BOOK☆WALKER
角川グループが中心の新興電子書籍店
書籍数:まだ少数 ファイル:独自形式(.book)
対応:iPhone / iPod touch / iPad
角川書店、及び角川グループ(アスキー、富士見書房、エンターブレインなど)がスタートさせた新興の電子書籍プラットフォーム(電子書籍店)です。
iPhone や iPad への積極展開を明言しており、iPhone / iPad では 2010年12月 に先行スタートしました。
小説や一般書籍だけでなく、ゲームやアニメ、映画やライトノベルなどのサブカルチャーにも強いグループで、総合的なメディア展開が期待されています。
2011年時点では、スタートしたばかりなのもあって書籍の数は少なくまだこれからと言った印象です。
それでも話題の作家や人気作を集めた、注目度の高い書籍がそろっています。
このアプリの特徴は、BOOK☆WALKER のアプリ内で書籍の閲覧や購入などを完結できることです。
購入用ウェブページに移動する手間や会員登録などが必要ありません。
購入は iTunes のアプリ内課金が使用されているため、手続きも簡単。
一度買った本は iTunes のアカウントに記録され、他の iOS の端末では無料でダウンロードが出来ます。
(ただしこのため、その本を PC 側で見ると言ったことは出来ません)
購入した本は表紙が並んだ画面から選ぶことができ、視覚的にも解りやすいです。

現時点では書籍を何ページか試し読みする機能は付いておらず、中身を少し見てから買うかどうか判断する、と言ったことは出来ません。
書籍閲覧時の操作性・機能性は非常に優れており、もちろん高解像度対応、明るさの調整や縦/横書きの変更も可能で、拡大時にも文字が滑らかに整形されます。
コミックや画像を閲覧した時の画質も、かなり高画質だと言えますね。
本によっては目次の表示と、そこからの各章へのリンクにも対応しています。
メニューを表示する方法が「画面を上か下にスライドさせる」と言う点だけ、やや解りにくいので注意して下さい。

角川書店、及び角川グループは以前から電子書籍に積極的で、その意気込みはこのアプリからも見て取れます。
ライトノベルに関しては、ここが中心になると言って良いでしょう。
今後の発展が見込める電子書籍店と言えますね。
コミック(マンガ)が中心の電子書籍の貸本屋
書籍数:普通 ファイル:独自形式
対応:iPad / iPhone / iPod touch
ここは電子書籍の「貸本屋」です。
購入するのではなく「100円で48時間だけ見れる」のが特徴です。
コミック(マンガ)が中心で、青年から大人向けの作品が多いですね。
まずチケットを 105 円で購入。そして1チケットで 48 時間の閲覧が可能です。
5チケット出すと無制限の閲覧、つまり実質の「購入」が可能ですが、525 円として考えると電子書籍としては(本にもよりますが)あまり安いとは言えません。
1度しか見ないような場合は約 100 円なのでお得で、時間がある時の暇つぶしにもなりますね。
アプリのリーダー(読書ソフト)の性能は iPhone と iPad でやや異なります。
iPhone / iPod touch 版はページをボタンかタップでめくりますが、iPad 版はフリックでのページめくりにも対応しています。
どちらもズームや画像のスクロールはスムーズで、iPhone 4 の高解像度に対応、画面はかなり綺麗です。
これは元のファイルの画質が良いためであるようです。
(iTunes のレビューには古いバージョンのものが残っているので注意して下さい)

また、このアプリはストリーミング形式(順次読み込み)になっていて、見ているページを先に読み込んで表示しつつ、余裕がある時に全体を読み込むという形式になっています。
そのため購入後はダウンロードを待たず、すぐに読み始めることが可能です。
欠点は借りた(購入した)本を見る時にその都度ログイン画面でメールアドレスとパスワードを入力しなければならず、手間がかかること。
また iPhone / iPod touch で見た場合、画面下が少し切れていて、縦にスクロールする必要があることでしょうか。
iPad や iPhone でサイトを見た時、書籍検索の入力部が下の方にある点にもご注意下さい。
ややジャンルが偏っていますが貸本というスタイルがユニークで、見たい本があるならお得な書店だと言えますね。
iPhone / iPod 用アプリ表示(iTunes 起動)
※もし読み込み画面のまま動作しなくなった場合は、アプリを一旦削除し再インストールして下さい。
コミック(マンガ)専門の電子書籍の貸本屋
書籍数:多い ファイル:独自形式
対応:iPad のみ
Yahoo! Japan の運営する電子書籍書店です。 名前の通り「コミック」専門。
販売価格は原本の約7割から半額ほど。
しかし購入した本には利用期限があり、80日間しか閲覧できません。
よって実質的には「貸本屋」と言っても良いでしょう。
また iPad のみの対応で、iPhone / iPod touch では利用できません。
Yahoo! コミックの長所は「無料の立ち読みコミック」が豊富なこと。
無料で読めるコミックやマガジンの量、ページ数、共に最多です。
お金を払わなくても十分にマンガを楽しむ事ができます。
コミックの量も多めですが、Yahoo! コミックにある書籍のすべてが iPad で見れる訳ではありません。
その区別はパソコンでアクセスした際には出来ないので、iPad 側からアクセスして本の確認や検索をするようにして下さい。
アプリのリーダー(読書ソフト)としての性能ですが、無料のコミックやマガジンを読む時は2段階のストリーミング(順次読み込み)になっています。
ページをめくるとまずファイルサイズの軽いページが読み込まれ表示されます。
このページは画質が荒く、全体的にぼやけ気味ですが、高画質なページも同時に読み込まれ、それに応じて画質が徐々に良くなっていきます。
そして余裕がある時にページ全体の「先読み」も行われ、完全に読み込まれると全ページ最初から高画質な表示になります。
このようなシステムのため、読み始めは画質が荒いのが欠点ですが、3G 回線でも長い読み込みを待たずに読み始めることが出来ます。

購入した作品は本体に保存されるため、完全に読み込んでしまえばずっと高画質のままで読み続けることが出来ます。
欠点はコミック(元のファイル)の画質が荒く、高解像度の表示や画質の調整にも対応していないこと。
ズームインすると明らかにぼやけた画面になってしまいます。
iPad を横向きにすると見開きの画面になりますが、この時も縮小表示の調整が良いとは言えないため、細かい部分や文字などが潰れてしまいます。
他のリーダー/コミックと比べると画質の面では劣りますね。
ただ、ズームせずに普通に iPad の画面で読み進める分にはほぼ問題ありません。
アプリの操作性は良好で、快適に操作することが出来ます。
「購入したのに期限付き」というのが非常に残念なのですが・・・
定期的に無料コミック・無料マガジンが提供されているのは非常にありがたいと言えます。
ですから、それ目当てに使う「ネット立ち読み書店」としてはとても良いですね。
雑誌専門のビューアアプリ
対応:iPad / iPhone / iPod touch
料金:月 350 円(最初の 30 日は無料)
ソフトバンクが iPad の発売に合わせて設立した新会社が運営するアプリです。
雑誌や新聞などを iPad や iPhone で読めるようにと提供されたアプリで、iPad の電子書籍リーダーとしての役割を確立すべく提供されたものだと言えます。
このビューン、開始当初はサーバーが負荷に耐えられず利用不可能になったり、過負荷により読み込みが非常に遅かったり、提供されているページ数がかなり少なかったりなど問題山積で、ユーザーから酷評されまくりました。
しかし現在はかなり改善され、回線も安定し、読める雑誌のページ数も増加。
メジャーな週刊誌も数多く協力していてラインナップも充実しています。
雑誌の全ページが読める訳ではなく、そのページ数は雑誌によりまちまちですが、多くの雑誌でかなりのページ数を読むことができます。
ビューン用に編集された新聞記事やニュース速報、動画ニュースの配信なども行われています。

ファイルは2段階のストリーミング(順次読み込み)で表示されます。
まず荒い画面が素早く表示され、その後にページの読み込みに合わせて綺麗な画面に変わっていきます。 余裕があれば全ページの先行ダウンロードも行われます。
目次やページのサムネイル表示も可能で、目次ページからバックナンバーの閲覧も可能です。
ファイルの読み込み量が多いため、Wi-Fi 通信限定ですので注意して下さい。
また多機能なために負荷も高く、iPhone 3G では動作が全体的に重くなります。
基本的には iPad や新機種用のアプリだと思った方が良いでしょう。
アップデートにより「書籍データを保存して、ローカルで読む」と言うことは可能になりました。
雑誌の更新日時はその雑誌の発売日より遅い場合が多く、雑誌によっては記事の一部が後から追加されていくという場合もあります。
よって最新記事でない事も多いのですが、ここは仕方がないところでしょうか。
欲しい雑誌の全紙面を電子書籍として購入できないのも欠点と言えそうです。
紆余曲折あったアプリですが、現在は機能し始めています。
家やカフェなどの WiFi 通信が可能な場所で、雑誌を流し読みするという用途においては、非常に便利なアプリです。
活用できる場やタイミングがある人なら、高機能でこれだけの雑誌を読めるのは便利なので、月 350 円というのはお得と言えるでしょう。
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iPhone / iPod 版アプリを表示(iTunes 起動)
ここからは「電子書籍」に関する基礎知識などを解説いたします。
また現時点ではあまりオススメしない、もしくは iPad / iPhone に対応していないが、今後利用可能になるかもしれないオンライン書店もご紹介しています。
| 基礎知識・ファイル形式について |
電子書籍は様々な形式のファイルで販売されていますが、iPad や iPhone / iPod で使用出来るものには限りがあります。
以下が代表的な電子書籍のファイル形式の種類です。
現在のところ、XMDF と Keyring PDF は iPad や iPhone のリーダーで読むことは出来ません。
.book は自分で iPad / iPhone 用に変換すれば閲覧が可能ですが、T-Time というソフトを有料版にする必要があり、さらに一部の本は書き出し出来ません。
電子書籍パブリの iPhone アプリは XMDF / .book リーダーですが、パブリで購入したもの以外のファイルの利用は出来ません。
PDF、Jpg、Txt は以下のリーダーなどで読むことが出来ます。
GoodReader
iPhone / iPod touch 版、iPad 版(iTunes が起動)
iPhone で PDF を見る場合の定番ソフト。 他にも様々な形式に対応。
ブックリーダーではありませんが、PDF を見るならこれが一般的。
価格は 115 円。 こちら で詳しく解説しています。
i文庫 HD
iPad 版を表示する(iTunes が起動)
iPad 定番の多機能ブックリーダー。操作性やインターフェイスに優れます。
zip 内の画像ファイルやテキストファイルを本として閲覧可能。 PDF にも対応。
価格は 900 円。こちら で詳しく解説しています。
ComicGlass
iPhone / iPod touch / iPad 用(iTunes が起動)
iPhone と iPad の双方で使えるコミックリーダー。
zip や rar 内の画像ファイルを本として閲覧でき、パスワードなどにも対応。
価格は 230 円。 公式サポートは こちら です。
| 予備解説・その他の電子書籍書店など |
以下は現時点ではオススメという程ではない、もしくは iPad / iPhone に対応していないオンライン書店です。
しかし日本の電子書籍市場、特に iPad / iPhone 対応書籍はまだ発展途上であり、今後これらの書店も利用できるようになるかもしれません。
紙書籍を PDF 化するサービスや、今後スタートする予定の電子書籍販売プラットフォーム(電子書籍店)の現状も解説しています。
※表記している解説は 2010年12月 時点のものですのでご了承下さい。
=今後注目できそうな電子書籍店、アプリ=
=現時点では今ひとつの電子書籍店、アプリ=
=創作者による直接配信の電子書籍=
=大手だが iOS にまだ未参入、及び準備中の書店=
=電子書籍化(自炊)代行サービス=
| SITE PV |